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オペラ『ルチア』演出・翻案 田尾下哲インタビュー

本公演の制作・上演への思いや見所を伺いました。

NISSAY OPERA 2020 特別編 オペラ
『ルチア~あるいはある花嫁の悲劇~』

演出・翻案 田尾下 哲インタビュー

<日生劇場芸術参与 粟國 淳メッセージはこちら>

■いま、『ルチア』特別編を制作・上演するにあたっての思いと目指すものとは
出演者とスタッフ、そしてお客様に完全なる安全を補償できない現在、考えられる限りの危険を回避する方法を取ろうと思いました。お客様をお迎えする劇場内での安全もそうですが、リハーサルの進め方も極力人を少なく、と考えました。その条件の中で、舞台を作らせていただくことに感謝し、今だからしか出来ない表現でありながらも、コロナだから仕方がないね、ではなく、まるで最初からこういう作品だったと思っていただけるような、作品の必然性ある表現の舞台を皆と作り上げたいと思っています。

■本作品の『ランメルモールのルチア』との違いや新たなオペラ作品としての見所とは
本来は44名の出演者が予定されていましたが、2020年版は7名のソリスト、1名の俳優によって上演されます。しかも、舞台上で演じる歌手はルチアただ一人。泉の亡霊も芝居をしますが、物語としてはルチアの一人芝居です。オペラ『ランメルモールのルチア』をルチアの悲劇に絞って描くことで、通常のオペラ上演ではルチアの出ていない場面でも、ルチアがその時どのような状態にいたか、どう考え、感じていたか、をお客様にずっと見てもらう舞台になります。ルチアを巡る策略が、彼女をどう追い込んでいったのか。逆に歌っていない、芝居だけの時間こそが今回のルチアの見せ所になるかも知れません。それがルチアの幻想なのか、事実なのか。はたまたルチアは生きているのか死んでいるのか、さえご覧になった皆様に感じていただきたいと思っています。

 

■日生劇場での2020年版『ルチア』だからこその舞台を目指して
オペラを上演するには、非常に長い準備期間、大勢の人々が関わる大所帯のプロジェクトになります。そのプロジェクトをこれまで通りに行うことから制限を設けるのではなく、新たな2020年版の上演を考えるという方向で進めさせてくださった劇場の判断に心から感謝しております。今回の上演は2020年だからこその上演形態になるはずですし、2020年版を見ることで、では、ルチア以外の人たちはどう振る舞うのかと興味を持っていただき、通常版を見たいと思っていただける舞台を作りたいと考えています。

■お客様へ
コロナ禍により大変な時代ですが、この時代だからこその表現を探究したいと思っています。それは、制限によりスケールダウンしたものをお届けするのではなく、最大限に危険を回避した環境の中で、ドニゼッティの音楽を、ルチアの物語を最大限にお伝えする方法です。それが今回のルチアの一人芝居版への思いです。この作品だからこそ、タイトルロールのルチアに焦点を絞るからこそ描ける世界をご覧いただき、ドニゼッティ『ランメルモールのルチア』の新たな一面を感じていただけるようにカンパニー一同頑張りますので、是非お楽しみにいらしてください。

 

♪公演特設ページ:
https://opera.nissaytheatre.or.jp/info/2020_info/lucia/

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